リン酸鉄リチウム電池と鉛蓄電池を並列化する方法 - 2台のチャーコンを使って対策!

自作の太陽光発電で、自動車用バッテリーとリン酸鉄リチウムバッテリー(LFP電池)を並列化するには2つの問題点があります。

1つ目は鉛電池とLFP電池の満充電時の電圧の違い、2つ目はチャージコントローラーの充電設定の違いです。

そこで「2台のチャージコントローラー」と「ショットキーバリアダイオード」を使って問題点を解決してみました。

蓄電容量は少ないが無料の廃バッテリー、大容量だけど価格が高いLFP電池、この2種類のバッテリーを並列化すればコスパがアップ!

オフグリッドの太陽光発電システムを自動車用の廃バッテリーだけで並列化していた時は蓄電容量が少なくて消費電力が大きな電気製品は使えませんでした。

しかし、LFP電池と並列化する事で一気に大容量になりました。

LFP電池と鉛充電池の違い

LFP電池と鉛充電池を並列化するには「ダイオード」を使ってバッテリー間に循環電流が流れないように制御します。

しかし、それぞれのバッテリーは電圧・充電方式に違いがあります。

まず、LFP電池の特徴は以下になります。

    LFP電池の特徴
  • 満充電時の電圧は13.5V
  • 定電流・定電圧の2段階充電

対して鉛充電池の特徴は以下になります。

    鉛充電池の特徴
  • 満充電時の電圧は12.8V
  • バルク・アブソーブ・フロートの3段階充電

なので、それぞれのバッテリーに対応した充電電圧・充電方式の設定ができる2台のチャージコントローラーを使う必要があります。

LFP電池と鉛充電池の違い

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欠点のあった並列化の回路図

    2つの問題点
  • 1つのパネルでは分岐して充電不可
  • 満充電になると17Vまで跳ね上がる

最初に1つのソーラーパネルから2つのチャージコントローラーへダイオードを使って電流を振り分けて試してみましたが失敗に終わりました。

その場合、電流がLFP電池へ優先的に流れてしまって鉛電池が充電されない現象が起こりました。

なので、それぞれのバッテリーには1つのソーラーパネルに1つのチャージコントローラーを接続することにします。

そして、もう一つの問題点。

それは、LFP電池が満充電になるとBMS(安全制御システム)が作動して『チャージコントローラーの電圧が 17Vまで跳ね上がってしまう現象』が発生したのでした。

本来ならチャージコントローラーの安全装置が働いて回路を遮断するはずなのですが、なぜか機能しません。

電圧が17Vまで上がると負荷側で使っているインバーターの安全装置(高電圧切断回路)も働いてシャットアウトします。

また、他の12Vで動く電気製品も破損する危険性が出てきます。

なので、LFP電池のBMSが作動する前に配線を遮断する対策をしなければなりません。

※LFP電池と鉛充電池を並列化した際の初期の回路図は以下になります。

回路図の右側が鉛バッテリーの並列化で、左側がLFP電池です。

電圧制御回路を使う

LFP電池が満充電になると電圧が跳ね上がる現象を防ぐ対策として、まずチャージコントローラーの充電電圧の設定上限を14.0Vまで下げてみました。

BMSで設定されている過電圧による回路切断電圧が15Vに到達しないようにする為です。

そして、チャージコントローラーとLFP電池の間に電圧制御回路を入れてみました。

使用した電圧制御回路は「DiyStudio XH-M604」という名称でamazonショップで販売されていました。

DiyStudio XH-M604

説明書は付属していません。

制御回路の端子の左側(+ IN -)にチャージコントローラー、接続端子の右側(BAT)にLFP電池を接続します。

制御回路の端子

そして、モニターの下側に制御電圧を設定するボタンがあります。

モニターの下側に制御電圧を設定するボタンがある

まず、制御回路にバッテリーを接続するとモニターが点灯します。

制御回路のモニターには14.1Vと表示されていますがチャージコントローラーのモニターには13.6Vと表示されています。

販売されている制御回路には個体差はあると思いますが、0.5Vほど電圧が高く表示されているようですね。

制御回路にバッテリーを接続するとモニターが点灯

次にバッテリーの電圧が13.7Vになった時に回路を遮断する設定をします。

「停止」と表示されているボタンを長押しするとモニターの数字が点滅します。

そして、数字が点滅している間に「停止」とその隣にあるボタンを使ってモニターの数字を14.2Vまで上げます。

モニターの数値は本来の数値より0.5V高いですから、実際は13.7Vで停止します。

あとは数秒放置すれば設定は完了です。

回路を遮断する電圧を設定

今度はバッテリーの電圧が13.4Vまで下がった時に回路が復帰する設定をします。

「停止」の隣にあるボタンを長押ししてモニターの数字を13.9Vにします。

これで設定は終わりました。

回路を復帰する電圧を設定

そして、晴天が続く日に実験してみました。

LFP電池の電圧が13.7Vになると正常に制御回路が働き、チャージコントローラーとの接続が遮断されました。

チャージコントローラーのモニター表示は E01 になっています。

このエラーコードはバッテリー過放電を意味しているので、回路が遮断されてバッテリー電圧が 0V になったと認識したのでしょう。

チャージコントローラーは最初にバッテリーから接続しないと安全回路が働いてエラーが出るのです。

※チャージコントローラーによっては接続順番を間違えると壊れる場合もあるので自己責任の下で試してくださいね。

エラー表示 E01 なのでバッテリー過放電のエラー

その後、しばらくバッテリーを使用すると電圧が13.4Vまで下がり、制御回路が復帰しました。

数分するとチャージコントローラーのエラーも自動復帰して太陽光発電を再開しました。

制御回路の停止電圧の上限値は、お好みで変えると良いでしょう。

そのままバッテリーを使用して電圧が13.4Vまで下がると回路が復帰しました

今のところは、この方法が有効で電圧が極端に上がる事は無くなりました。

※画像をクリックすると拡大します。

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自作のポータブル電源

バッテリーの並列化に使用したLFP電池は自作のポータブル電源としても利用しています。

通常は家庭での電源として使用していますが、キャンプや車中泊へ行く時には自動車に積んで使うのです。

なので、家のソーラー発電システムと切り離しが簡単な仕様にしました。

LFP電池で作った自作のポータブル電源

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鉛充電池からの配線

並列化された鉛電池からコネクター部分までの配線を製作します。

コネクターはアンダーソンのパワーポールコネクターとそっくりな類似品を使用しました。

使用したケーブルの太さは14AWGです。

流せる最大電流値が23Aなので、消費電力が273Wまでの電気製品なら使用できる計算です。

コネクターはアンダーソンのパワーポールコネクターとそっくりな類似品

そして、ケーブルと端子台に接続します。

端子台を別にすることで鉛充電池とLFP電池が区別しやすくなります。

ケーブルと端子台に接続

端子台をバッテリー収納ボックスに設置して、プラス配線とマイナス配線を接続します。

端子台をバッテリー収納ボックスに設置

プラス側への配線は2mmのVVFケーブルで、許容電流は23A。

そして、ショットキーバリアダイオードの許容電流は15Aです。

配線はインバーターへ流れるダイオードの出口に接続しています。

ちなみに、ダイオード自体も並列化していますがダイオードの特性上、効果は気休め程度です。

ダイオードも並列化

マイナス側の配線は、そのままバッテリー端子に接続しています。

マイナス側の配線は、そのままバッテリー端子に接続

マイナス配線にはヒューズを取り付けているので、大電流が流れても安全です。

ヒューズは15Aを使用しています。

ヒューズは15Aを使用

そして、ショート防止の為にターミナルカバーも取り付けます。

ショート防止の為にターミナルカバー

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LFP電池からの配線

次にLFP電池からの配線を製作します。

このLFP電池は鉛バッテリーとは別のソーラーパネルとチャージコントローラーで充電されているので、配線はプラス側とマイナス側から取り出すだけになります。

そして、配線の末端も鉛充電池からの配線と同じコネクターを使います。

LFP電池からの配線を製作

これで配線が完成しました。

これで配線が完成

配線の脱着

コネクターを接続して鉛充電池とLFP電池を並列化します。

脱着は、とっても簡単♪

コネクターを接続して鉛充電池とLFP電池

LFP電池はバッテリー収納ボックスの隣に設置しています。

下の写真では、バッテリーを中心に右側がソーラーパネルからの配線、左側が並列化された鉛充電池への配線になります。

LFP電池はバッテリー収納ボックスの隣に設置

LFP電池の電圧を計測してみます。

LFP電池の電圧を計測してみる

太陽光発電で充電中のLFP電池の電圧は13.45Vです。

チャージコントローラーからの入力側にダイオードを挿入

そして、LFP電池からダイオードを通した先の配線は電圧が13.31Vになっています。

この電圧が並列化されたバッテリーの電圧になります。

ダイオードの許容電流が15Aなので実際に使える電力は200W未満ですが、照明や中型のLEDテレビなどの電機製品を使うには十分だと思います。

並列化されたバッテリーの電圧

理想ダイオードへ変更

その後、ショットキー バリア ダイオードを理想ダイオードに変更しました。

使用した理想ダイオードのスペックは以下になります。

【スペック】

動作電圧:3~28V
動作電流:最大15A
重量:(約)5g
サイズ:(約)横23×縦28mm

理想ダイオード

ネジ穴が小さいので、適合するネジとボルトは限られますが取り外さないならハンダ付けでも良いでしょう。

ちなみに私はキボシのメス端子を広げてカットして穴を空け、ネジで固定しました。

ネジ穴が小さいので、適合するネジとボルトは限られる

実際に電気製品を使用している時の理想ダイオードの電圧降下を測定してみると、0.03~0.05Vでした。

ショットキー バリア ダイオードの最大0.5Vの電圧降下と比較すると損失がとても少ない事が分かります。

そして、鉛充電池とLFP電池を並列化した時の電圧を計測すると13.22V。

理想ダイオードの抵抗を計測してみると、電圧降下は0.03~0.05Vでした

LFP電池の電圧を計測すると13.23Vでした。

太陽光発電で充電している時の鉛電池の電圧はLFP電池の電圧と それほど変わらないので問題ないと思われます。

ただ、夜間になると鉛電池の電圧が12.5V前後まで下がるので、満充電で13.5VのLFP電池から優先的に電流が流れるようになります。

あとは『満充電時に電圧が跳ね上がる問題』と『LFP電池の耐久性』の検証を続けたいと思います。

ご参考までに。

チャージコントローラーからの入力側にダイオードを挿入

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価格が安いので当たり外れがあると思いますが、今回使用したものと同タイプの理想ダイオードです。

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【太陽光発電】

自然災害が多発している今、再生可能エネルギーが見直されています。空地だった場所がいつの間にかソーラーパネルが敷き詰められて広大なメガソーラー発電所になっていたりします。

新興住宅街には屋根にソーラーパネルを設置して自家発電している新築住宅もあちこちで目につきますね。
灯油で使う石油ボイラーやストーブを撤去してオール電化にしている家庭も多いのではないでしょうか?

太陽光発電をしている家庭のほとんどは売電を目的として設置しているので、ちょっとポケットマネーで始めようかという訳にはいきません。

このページでは、オフグリッドのソーラー発電を自動車のバッテリーに蓄電して夜間に使用するといった独立型太陽光発電システムの制作について説明しております。

電気を扱うので取り扱いを間違えると火災や火傷などの危険を伴います。自己責任の上、十分ご注意願います。

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