LFPバッテリーと鉛バッテリーとの並列化 - リン酸鉄リチウム電池と並列にする

12V仕様の太陽光発電で、自動車用バッテリーとリン酸鉄リチウムバッテリー(LFP電池)を並列化するには2つの問題点があります。

1つ目は鉛電池とLFP電池の満充電時の電圧の違い、2つ目はチャージコントローラーの充電設定の違いです。

そこで「2台のチャージコントローラー」と「ショットキーバリアダイオード」を使って問題点を解決してみました。

蓄電容量は少ないが無料の廃バッテリー、大容量だけど価格が高いLFP電池、この2種類のバッテリーで並列化されたシステムは最強です。

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オフグリッドの太陽光発電システムを自動車用の廃バッテリーだけで並列化していた時は蓄電容量が少なくて消費電力が大きな電気製品は使えませんでした。

しかし、LFP電池と並列化する事で一気に大容量になります。

LFP電池と鉛充電池

LFP電池(LiFePO4)の満充電時の電圧は13.5Vです。

対して、自動車用の鉛充電池の満充電時の電圧は12.8V前後です。

なので、この種類の違う2つのバッテリーを並列化した場合は、電圧の高いLFP電池から電圧の低い鉛充電池へ電流が流れ続けてしまうのです。

そこで、並列化する際は「ショットキーバリアダイオード」を使ってバッテリー同士に循環電流が流れないように制御する必要があります。

次にLFP電池と鉛充電池の充電設定の違い。

鉛充電池は「バルク充電・アブソーブ充電・フロート充電」の3段階で充電を行いますが、LFP電池は「定電流充電・定電圧充電」の2段階になっています。

なので、LFP電池と鉛充電池で並列化したバッテリーを充電するには「2つのチャージコントローラー」が必要になるのです。

LFP電池と鉛充電池の違い

欠点のあった並列化の回路図

LFP電池と鉛充電池を並列化した際の初期型の回路図は以下になります。

回路図の右側が鉛バッテリーの並列化で、左側がLFP電池です。

ソーラーパネルからの電流を2つのチャージコントローラーへ引き込む方法もありますが、私はLFP電池専用のソーラーパネルとチャージコントローラーを用意しています。

LFP電池から負荷側へ流れる電流は、インバーターへ流れるダイオードの出口に接続されているので鉛充電池には流れない仕組みになっています。

しかし、問題点がありました。

それは、LFP電池が満充電になるとBMS(安全制御システム)が作動して充電をシャットアウトしてしまい、『チャージコントローラーの電圧が跳ね上がってしまう現象』が発生したのでした。

すると、インバーターの安全装置が働いてシャットアウトするので家庭用の電気製品が使えません。

そして、電圧が17Vまで上がっているので他の12Vで動く電気製品も破損する危険性が出てくるのです。

なので、満充電になりそうな時は事前にソーラーパネルとチャージコントローラーとの配線を手動で切断しなければなりません。

※画像をクリックすると拡大します。

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改良予定の並列化の回路図

LFP電池が満充電になると電圧が跳ね上がる現象を防ぐために、チャージコントローラーの充電電圧の上限を14.2Vまで下げてみました。

BMSで設定されている過電圧による回路切断電圧が15Vに到達しないようにする為です。

今のところは、この方法が有効で電圧が極端に上がる事は無くなりました。

他にもチャージコントローラーとバッテリーの間に充電制御コントローラーを入れてみる事にします。

まだ、部品が到着していないので検証はしていませんが成功したらアップします。

詳細は後ほど。

※画像をクリックすると拡大します。

自作のポータブル電源

バッテリーの並列化に使用したLFP電池は自作のポータブル電源としても利用しています。

通常は家庭での電源として使用していますが、キャンプや車中泊へ行く時には自動車に積んで使うのです。

なので、家のソーラー発電システムと切り離しが簡単な仕様にしました。

LFP電池で作った自作のポータブル電源

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鉛充電池からの配線

並列化された鉛電池からコネクター部分までの配線を製作します。

コネクターはアンダーソンのパワーポールコネクターとそっくりな類似品を使用しました。

使用したケーブルの太さは14AWGです。

流せる最大電流値が23Aなので、消費電力が273Wまでの電気製品なら使用できる計算です。

コネクターはアンダーソンのパワーポールコネクターとそっくりな類似品

そして、ケーブルと端子台に接続します。

端子台を別にすることで鉛充電池とLFP電池が区別しやすくなります。

ケーブルと端子台に接続

端子台をバッテリー収納ボックスに設置して、プラス配線とマイナス配線を接続します。

端子台をバッテリー収納ボックスに設置

プラス側への配線は2mmのVVFケーブルで、許容電流は23A。

そして、ショットキーバリアダイオードの許容電流は15Aです。

配線はインバーターへ流れるダイオードの出口に接続しています。

ちなみに、ダイオード自体も並列化していますがダイオードの特性上、効果は気休め程度です。

ダイオードも並列化

マイナス側の配線は、そのままバッテリー端子に接続しています。

マイナス側の配線は、そのままバッテリー端子に接続

マイナス配線にはヒューズを取り付けているので、大電流が流れても安全です。

ヒューズは15Aを使用しています。

ヒューズは15Aを使用

そして、ショート防止の為にターミナルカバーも取り付けます。

ショート防止の為にターミナルカバー

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LFP電池からの配線

次にLFP電池からの配線を製作します。

このLFP電池は鉛バッテリーとは別のソーラーパネルとチャージコントローラーで充電されているので、配線はプラス側とマイナス側から取り出すだけになります。

そして、配線の末端も鉛充電池からの配線と同じコネクターを使います。

LFP電池からの配線を製作

これで配線が完成しました。

これで配線が完成

配線の脱着

コネクターを接続して鉛充電池とLFP電池を並列化します。

脱着は、とっても簡単♪

コネクターを接続して鉛充電池とLFP電池

LFP電池はバッテリー収納ボックスの隣に設置しています。

下の写真では、バッテリーを中心に右側がソーラーパネルからの配線、左側が並列化された鉛充電池への配線になります。

LFP電池はバッテリー収納ボックスの隣に設置

LFP電池の電圧を計測してみます。

LFP電池の電圧を計測してみる

太陽光発電で充電中のLFP電池の電圧は13.45Vです。

チャージコントローラーからの入力側にダイオードを挿入

そして、LFP電池からダイオードを通した先の配線は電圧が13.31Vになっています。

この電圧が並列化されたバッテリーの電圧になります。

ダイオードの許容電流が15Aなので実際に使える電力は200W未満ですが、照明や中型のLEDテレビなどの電機製品を使うには十分だと思います。

並列化されたバッテリーの電圧

理想ダイオードへ変更

その後、ショットキー バリア ダイオードを理想ダイオードに変更しました。

使用した理想ダイオードのスペックは以下になります。

【スペック】

動作電圧:3~28V
動作電流:最大15A
重量:(約)5g
サイズ:(約)横23×縦28mm

理想ダイオード

ネジ穴が小さいので、適合するネジとボルトは限られますが取り外さないならハンダ付けでも良いでしょう。

ちなみに私はキボシのメス端子を広げてカットして穴を空け、ネジで固定しました。

ネジ穴が小さいので、適合するネジとボルトは限られる

実際に電気製品を使用している時の理想ダイオードの電圧降下を測定してみると、0.03~0.05Vでした。

ショットキー バリア ダイオードの最大0.5Vの電圧降下と比較すると損失がとても少ない事が分かります。

そして、鉛充電池とLFP電池を並列化した時の電圧を計測すると13.22V。

理想ダイオードの抵抗を計測してみると、電圧降下は0.03~0.05Vでした

LFP電池の電圧を計測すると13.23Vでした。

太陽光発電で充電している時の鉛電池の電圧はLFP電池の電圧と それほど変わらないので問題ないと思われます。

ただ、夜間になると鉛電池の電圧が12.5V前後まで下がるので、満充電で13.5VのLFP電池から優先的に電流が流れるようになります。

あとは並列化した際に起こる『満充電時に電圧が跳ね上がってしまう問題』と『LFP電池の耐久性』が どのくらいあるのかを検証したいと思います。

ご参考までに。

チャージコントローラーからの入力側にダイオードを挿入

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価格が安いので当たり外れがあると思いますが、今回使用したものと同タイプの理想ダイオードです。

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【太陽光発電】

自然災害が多発している今、再生可能エネルギーが見直されています。空地だった場所がいつの間にかソーラーパネルが敷き詰められて広大なメガソーラー発電所になっていたりします。

新興住宅街には屋根にソーラーパネルを設置して自家発電している新築住宅もあちこちで目につきますね。
灯油で使う石油ボイラーやストーブを撤去してオール電化にしている家庭も多いのではないでしょうか?

太陽光発電をしている家庭のほとんどは売電を目的として設置しているので、ちょっとポケットマネーで始めようかという訳にはいきません。

このページでは、オフグリッドのソーラー発電を自動車のバッテリーに蓄電して夜間に使用するといった独立型太陽光発電システムの制作について説明しております。

電気を扱うので取り扱いを間違えると火災や火傷などの危険を伴います。自己責任の上、十分ご注意願います。

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